ホッキョクグマの「デナリ」の体調不良について | 札幌市円山動物園
ホッキョクグマ「デナリ」(オス、29歳)の体調不良についてお知らせいたします。
8月8日に「デナリ」に以下の症状が見られています。
1 長時間プールに入り出たがらない。
また、プールから出てもすぐにプール内に戻ってしまう。2 お腹が張っている。
3 採食にムラがある。
4 段差をきらう。
以上の症状から、関節の痛みなどを疑い痛み止めの投薬を行っております。また、本日以降も観察を続け、関節の痛み以外の病気が存在する可能性や、更なる治療法についても模索をしていく予定です。
朝、まだデナリは室内です
— 金子貴樹(たかぷう) (@oisonero2015) August 10, 2023
今までホッキョクグマでは聞いたこともない鳴き声、うなり声が聴こえてきて心配しましたが、
あとでこれが吹き矢投薬に怒っているデナリの声とわかったのでその点では安心しました
2023.8.9#円山動物園#ホッキョクグマ pic.twitter.com/69GjriNHLD
デナリはトレーニングによって手からの採血が出来ているのですが、なぜ投薬は吹き矢を使ったのかはわかりません。
採血と投薬では違う何かの理由があるのだと思います。
初めのうちは顔をつけてブクブクしたりもしていました。
水は常に少量ですが流されていました。プールに浸かる時間が長いデナリのために配慮してのことだと思います。
この日はプールに浸かっている時間が1回目約2時間半、2回目約2時間でした。
なぜデナリがプールに長時間浸かっていたいのか?を考えてみたいと思います。
やはりお知らせにもあるように、足の関節に痛みがあるから浮力によってそれが楽になる、という理由が真っ先に浮かびます。
プールから上がるときや、段差を越えるときなど「どっこいしょ」と言ってそうな感じです。
単に暑いから、というのも考えられますが、空冷の効いた室内に入ろうとしなかったりもするので、それだけが理由ということはなさそうです。
もう一点気になるのはお知らせの2にあるお腹の張りです。
例えばこれが水圧によって押されるのがデナリにとっては都合が良いのかもしれません。
ただ、浅いプールに浸かるだけではそれほど水圧も掛からないでしょうから、これが理由だとするにはいまいち弱いかもしれません。
そのお腹の張りについてですが、たしかに気にはなっていました。
この5日前にあった氷のブレゼントのときに、「なんかお腹丸いな」とは思っていました。
このときはただポッチャリなのかなと思っていましたが…
もしかして便秘かも、と思いましたがうんちはちゃんとしていました。
となるとこの張り方はあまり良くない症状かもしれません。ただこれが足の関節痛と関係があるのか、プールに入る理由と関係があるのか、それはまだわかっていません。
室内にごはんが用意されてからもデナリはしばらくプールに入り続けていて(もちろん用意されたことには気付いていて)、自分のタイミングでプールから上がり食べ始めました。
果たしてこのプールに浸かるという行為がデナリにとってどれだけ楽なのでしょうか。
これだけ長時間だと、逆に陸にいるときの苦痛がそれほどひどいのか?とも思うし、それがプールに入ることでどこまで和らいでいるのか?も気になります。
あくまで例えばの話です。
陸にいるときの苦痛が100だとして、それがプールに入っている間は80なのか、50なのか20なのか0なのか。
それとも陸のときは30くらいでプールに入ると10や0なのか。
何にしても苦痛は少なければいいなと願うしかありませんが、こればかりは本人(クマ)にしかわかりません。
苦痛を隠すのが動物ですから、素人目に見ても苦痛に感じるようだと相当な危険度でしょう。
今のところのデナリはプールで文字通り涼しい顔をしています。
閉園時間前には室内に入りごはんを食べる様子も見せてくれたデナリでした。
担当さんや獣医さんが注意深く観察し適切な治療を行ってくれていますので、我々は静かに見守るだけです。
札幌市円山動物園
2023/8/9訪問
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